日本フッ素化学会

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会長

市川 淳士
市川 淳士
筑波大学数理物質系

 昨年、2017年12月1日付けで日本フッ素化学会の会長を拝命し、早いもので1年が経ちました。私自身のフッ素化学との繋がりを辿ると、博士課程を中退し九州大学で職を得た時点からと言えます。それまで、向山光昭先生のもとで有機合成反応の開発研究をしていましたから、フッ素との接点は多い方だったのかもしれません。それでも、フッ化物イオンを使ってシリルエーテルを切断したり、アルコールの活性化をしたりするくらいでした。ただ博士課程の初めの1年間は、自らの不斉合成反応で得たアルコールの光学純度を決定するため、来る日も来る日もMTPAエステルに変換して19F-NMRを測定していました。結果(光学収率)にがっかりすることがほとんどでしたので良い思い出はなく、フッ素化学をやっているという認識も全くありませんでした。九州大学で小林宏先生にフッ素化学に関する研究の機会をいただき、スルホニウム塩を経由するフッ素化法、ホウ素を使うジフルオロアルケンの合成法を開発して、フッ素置換基の合成化学的な利用へとのめり込んでいきました。九州大学より辞令を受けたのが1985年の奇しくも12月1日でしたから、それから32年後の同じ日に会長職に就いたということになります。人生の半分以上をフッ素化学と過ごしてきたことに感慨を覚えると同時に、会長として恩返しをする時が来たと感じました。
 日本フッ素化学会が発足してからこれまでに、5名の先生方(石原先生、中島先生、淵上先生、伊藤先生、山崎先生)が2年間ずつ会長を務めておられますので、10年を経たことになります。この間、歴代の役員を務められた方々の献身的なご努力により、本会の行事は着実に整備されてきました。本会の年会に当たる「フッ素化学討論会」は、今年で第41回を迎えました。これに加えて、最先端のフッ素化学や関連技術についての情報を提供し普及を図る「フッ素化学セミナー」、フッ素化学に携わる若手研究者や次世代のフッ素化学を担う学生の交流と育成を目的とする「フッ素化学若手の会」、日本各地でのフッ素化学の普及を目指す「フッ素化学研究講演会」が、毎年開催されるようになっています。これらによって、日本フッ素化学会の使命である (i) フッ素化学の情報交換と普及・啓蒙、(ii) 会員間の交流、(iii) フッ素化学者の育成の実現に向け、会長・副会長を含む15名の役員を中心に一層活動を強化します。具体的な施策のひとつとして、若手育成のために表彰制度を増やす方向で現在準備をしています。また、学会が成長するにつれて、その活動・行事では会員の方々へはもとより、広く社会に貢献することも重要な責務となるでしょう。これらを果たすため、行事には新たに企画委員会を設置し、見直しや新企画の開拓に取り組みます。行事にあわせて、組織の整備にも着手したいと考えています。これまでにも、 "フッ素化学懇談会"から"フッ素化学研究会"を経て、正式な学会組織である "日本フッ素化学会"となった経緯があります。新たな日本フッ素化学会の形体にご期待ください。
 時代や状況の変化にも柔軟に対応し、会員の皆様からのご意見を踏まえて、より良い学会を目指し改革を続けて参ります。お気づきのことがあれば、是非お寄せください。今後ともご支援ご鞭撻のほどお願いいたします。

平成30年12月17日

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